アルムナイインタビュー
『正しい看護を届けたい』
感染管理特定認定看護師として地域に貢献する私の今

『正しい看護を届けたい』─感染管理特定認定看護師として地域に貢献する私の今

高砂西部病院 急性期病棟 副主任 髙本様へのインタビュー

看護学校を卒業後は高度急性期病院に入職。その後、201210月に高砂西部病院に転職。3年半ほど勤務した後、子育てとの両立のため退職。特別養護老人ホームでの勤務を経て、20184月に当院に再就職。現在は急性期病棟で看護副主任を務め、感染管理特定認定看護師としても活躍中。

地元・高砂で育ち、「おばあちゃんっ子」だった髙本さんにとって、地域の人々とのつながりは、看護師として働くうえで大きな原動力になっています。
家庭との両立に悩みながらも看護の現場に戻る決意をした彼女に、地域に根ざした医療のなかで感じたやりがい、高砂西部病院の職場環境の変化について語っていただきました。

看護師としての第一歩 ─ 子育てとの両立の壁に直面

新卒で就職したのは、看護学校の母体の高度急性期病院でした。看護師としての一歩を踏み出したものの、わずか1年足らずで退職することになりました。電車通勤に片道1時間弱かかる中、朝は早く帰りは夜遅くという毎日が続きました。
私は少し早い時期に子どもを授かり、子育てと仕事の両立が求められる状況だったため、身体的にも精神的にも余裕がなくなってしまい、「このまま続けるのは難しい」と判断せざるを得ませんでした。病院からは「残ってもいい」と言っていただいたのですが、新卒で申し訳ないという気持ちが強く、一度キャリアに区切りをつけました。

「あなたがいるなら安心」― 地元・高砂での再スタート

1年間のブランクを経て、高砂西部病院に入職しました。自宅から車で5分の距離、幼少期から慣れ親しんだこの町で、自然と「ここで働こう」と思えたのがきっかけです。
私はおばあちゃんっ子だったので、おばあちゃんのお友達や近所のお知り合いが受診に来たりして、「あなたがいるなら安心」と声をかけられるたびに、地元で働く喜びを実感するようになりました。入職当時はそこまで「地域に貢献したい」という気持ちはなかったのですが、地域に住む身近な人達との関わり合いの中で、『私が誰かの安心になれている』そんな誇り・やりがいを持てるようになっていきました。

急性期のやりがいと、家庭との両立に悩んだ日々

高砂西部病院に入職後は急性期病棟に配属され、厳しくも温かい師長のもとで多くのことを学びました。忙しい環境の中でも仲間たちとともに「やってやるぞ」と乗り越える日々は、決して楽ではありませんでしたが、看護師としての基礎を築く大切な時間でした。
しかし当時の勤務環境は、残業がありきの世界で、帰りが遅い日が多くありました。夜勤明けでも残業があったり、シフトではなかなか希望休が通らなかったり。帰りが遅くなると、どうしても子ども達との時間が少なくなってしまうため、子育てとの両立が難しいと感じることが多くなっていきました。結果的に、家庭を優先し、再び病院を離れる決断をしました。

暮らしに寄り添う看護の魅力と、「病院でしかできないこと」への気づき

退職後は、特別養護老人ホームに再就職しました。そこではご入居者様の生活の場としてゆっくりと関わることができました。ご入居者様と一緒におやつを食べたり、名前を覚えてもらったりと、心あたたまる関わりができました。病院とは違い、生活の延長線上での看護を体験でき、やりがいも感じていました。

しかし一方で、医療的にグレーな対応が見過ごされている現実にも直面しました。たとえば皮膚トラブルへの対処に、過去の処方薬のストックを使ってしまうような場面があり、「やっぱり病院じゃなきゃ正しいケアができないこともある」と感じることがありました。

「戻っておいで」の声が、もう一度ナース服を着るきっかけに

転機となったのは、子どもの習い事先で再会した先輩や後輩たちからの「そろそろ戻っておいでよ」という声でした。かつてのプリセプターや、尊敬していた師長もまだ現場にいて、また一緒に働けるそんな思いが背中を押してくれました。特養での仕事にもやりがいはありましたが、私の性格的には忙しく時間が過ぎていく急性期医療の方が性に合っていると感じてもいました。そして、高砂西部病院への復職を決意しました。

コロナ禍で経験した葛藤と限界 ―感染管理特定認定看護師への挑戦

復職後、私の看護観を大きく揺さぶったのがコロナ禍です。高砂西部病院は当初は指定病院ではなかったのですが、地域の指定病院が満床になり、当院でも受け入れざるを得ない状況に。しかし、できる処置や使える薬剤にも限りがあり、それまで当たり前にできていたことができない現実に直面しました。目の前で明らかに苦しんでいる患者さんに、最善を尽くせない現実。先週までスーパーに元気に買い物に行けていた方が急変し、最善を尽くせないまま亡くなる─そんな場面を何度も経験しました。
「こんなに悔しいことがあるのか」と何度も胸が締めつけられました。だからこそ、「正しい知識を持ち、職場や地域に広めたい」と強く思うようになりました。

そこで、私は看護部長に直談判して、感染管理特定認定看護師にチャレンジしました。徳洲会の資格取得支援制度を活用させていただき、教育課程を受験。初回は不合格でしたが、あきらめずに再挑戦し、2025年に認定を取得しました。今では感染管理特定認定看護師 (ICN) として、院内感染対策チーム(ICT)の一員としての活動、抗菌薬適正使用の支援、感染予防策・特定行為の実践、病院職員の感染予防・啓発など、院内横断的に多岐の業務に携わらせてもらっています。

今の高砂西部病院は、昔よりずっと働きやすい場所に

復職して実感したのは、病院の就業環境が大きく改善していたことです。コロナ禍では帰れない日もありましたが、最近は残業もほとんどなく、定時で帰るのが当たり前になりました。看護部長が方針を定め、3人夜勤体制の導入や加算を見据えた体制整備、教育ラダーの整備などを積極的に進めた成果だと思います。残業をしない風潮、休んでもカバーできるチーム力が魅力となっていると感じています。

新卒で入職してから結婚・妊娠・出産そして育児に至るスタッフがみんな辞めずに働いています。以前は「新卒とベテランの間」が定着しづらかったのですが、いまは中堅層がしっかり残っています。なにかあったら休んだらいい、頑張るときはしっかり頑張って、時間になったら帰る。オンオフがはっきりとしていて、私はとても働きやすいと思います。

部署ごとに特色が違いますが、どの部署も所属長が優しく、話をしっかりと聞いてくれる方々です。男性看護師も増え、職場の雰囲気のバランスも良くなりました。

かつて一緒に働いた仲間たちには、「昔ほどしんどくないよ」と伝えたいです。

私が選んだ看護師という道、これからの目標

私は小さい頃から看護師を目指していたわけではありません。最初は「生活のため」だった看護師という選択が、今では「私にはこれしかない」と言えるほどの天職になりました。高齢の患者さんとの会話や関わりが大好きで、毎日のケアの中にこそ看護の本質があると感じています。

今後は、感染管理特定認定看護師の資格更新に向けて学会発表などにも挑戦していく予定です。そして、いざというときに「正しい対応」ができる病院であるために、私は一人のアドバイザーとして、地域全体の看護力を底上げしていきたいと考えています。

看護師の再就職も歓迎!

高砂西部病院では、結婚・出産・育児など、さまざまなライフイベントを経験しながら、看護師としてのキャリアを継続している職員が多く在籍しています。復職や転職をお考えの方にも働きやすい環境を整えておりますので、ぜひ採用情報をご覧ください。


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