在宅の現場を知ったから、急性期でできることがある。訪問看護を経て復職した看護師が目指す新しい看護師像

一般病棟 看護師へのインタビュー
准看護師として八尾徳洲会総合病院に入職後、奨学金制度を活用しながら定時制課程で正看護師免許を取得。循環器病棟を中心に15年以上勤務したのち一度退職し、訪問看護ステーション管理者を経験。2024年7月に八尾徳洲会総合病院へ復職し、現在は内科病棟に勤務。
准看からのスタート。子育てと学業と看護師の3つを両立できた理由
看護師という仕事を選んだのは、子供を育てていくために、手に職をつけようと思ったからです。正直なところ、食べていけるなら仕事は何でもよかった。それでも看護師を選んだのは、「困っている人と向き合い、人を支えられる仕事がしたい」という気持ちが出発点でした。
2008年4月に准看護師として八尾徳洲会総合病院に新卒で入職しました。子供がまだ1歳半のころで、准看護師養成の学校を卒業してすぐに働き始めました。家から近くて、子育て中でも働きやすい環境であることが、職場を選ぶうえで外せない条件でした。
八尾徳洲会総合病院を選んだ理由の一つは、奨学金制度を利用しながら定時制の進学課程に通えることでした。准看護師として働きながら、正看護師の資格を取得できる道筋が整っていたことは、当時の私にとって本当に大きな支えでした。入職翌年から3年間、仕事と学業と子育てを同時に続けながら、正看護師の免許を取得しました。
病院に保育室があることも、大きな決め手の一つでした。子供が体調を崩した時に預かってもらえる病児保育室はとても頼りになりました。子育てと両立できる環境が整っていることは、長く働き続けられた理由だと思っています。
循環器という選択。末長く働くための土台作り
30歳を過ぎてからの資格取得だったので、若い子達のようにあれもこれも挑戦するというよりは、末長く看護師として働いていくことを見据えて、しっかりした土台を作っておきたいと考えていました。循環器疾患の知識と経験を積んでおけば、あとでどこに行っても通用すると考え、循環器病棟への配属を希望しました。
循環器病棟での勤務に加え、週に数回はカテ室に入らせてもらう機会もありました。病棟からの応援という形でしたが、心カテ室での看護も経験できたことは大きな財産になりました。
また、在籍した15年あまりの間には、複数の委員会活動にも関わりました。病院の質を高めるためのQI大会では、各部署がひとつの目標に取り組んで成果を共有します。そういった場でリハビリや薬剤師、医師など他職種のスタッフと横のつながりができると、自分の病棟に来てくれた時にも声をかけやすくなります。患者さんの情報を共有し合いながら、「こういう関わり方はどうでしょう」と提案もしやすくなる。チームワークが良くなれば、それが患者さんの利益につながっていく。職種の垣根を超えてみんなで病院を支えている実感を持ちながら働けたのは、大切な経験でした。

「早く家に帰りたい」の言葉が、在宅看護に踏み出した理由
循環器病棟には高齢の患者さんが多く、どうしても回復が遅くなることがあります。なかなか退院できない日が続く中で、「早く家に帰りたい」とおっしゃる方にたくさん出会いました。
医療の観点からは入院が必要な状態でも、訪問看護が入れば在宅で療養できないわけではない、という方が中にはいらっしゃいました。帰りたいとおっしゃるなら、社会資源を使って自宅での療養という選択肢もあるのではないか。そういった症例を重ねるうちに、「そんな患者さんの希望を叶えるお手伝いがしたい」「在宅看護をもっと知りたい」という気持ちが大きくなっていきました。
なかなかきっかけをつかめずにいたところ、知り合いから訪問看護ステーションを立ち上げるという話をもらいました。それが、外に踏み出すきっかけになりました。子供も以前よりは手がかからなくなっていた時期でもありました。
病院でのやりがいも感じながら、それでも一度外の世界を見てみたい。そんな思いで、2023年3月に八尾徳洲会総合病院を退職しました。
病院の外に出て初めて知った、在宅の深さと自分の限界
訪問看護ステーションには、管理者として入職しました。訪問看護師としても初めてなのに、いきなり管理者という立場での出発です。ステーションを立ち上げた知り合いが介護施設も運営していたため、施設への訪問看護と居宅への訪問を並行してスタートすることになりました。利用者さんがゼロという状態ではなかったことは助かりましたが、それ以外のすべては初めてでした。
レセプトも自分でこなし、往診の先生とのやり取りも、パートスタッフの采配も全部自分でやりました。経営的な視点、ケアマネジャーやご家族との多方面での連携、スタッフ教育。次々と直面する課題に、正直、消耗していきました。
看護師としてのスキル面でも、思い知ることがたくさんありました。病棟ではしないけれど、居宅ならこれでいいのではないか…そういう判断をしなければならない場面が頻繁にあります。でも訪問看護は初心者ですから、その判断がなかなかつかない。相談できる相手も周りにはほとんどいませんでした。
一方で、訪問看護ならではのやりがいも確かにありました。利用者さんのお宅に入ると、病院では見せてくれないような表情に出会えます。自分の住み慣れた場所にいる方の顔は、病院でお会いする時とは明らかに違う。その人の生活に入り込んで寄り添う看護の手応えは、1年間を通じて一貫して感じていました。
ただ、1年を経て、今の自分には臨床でのスキルとアセスメント力をもう一度鍛え直す時間が必要だということを痛感しました。在宅で経験した視点を活かすためにも、もう一度医療体制の整った場所で学び直そう。そう決心して、病院に戻ることを考えました。

辞めた職場に戻る勇気。迷いと、背中を押したもの
「病院に戻ろう」と決めてから、選択肢のひとつに八尾徳洲会総合病院が自然と浮かびました。ただ、自分から辞めた職場に戻るというのは、やはり簡単には踏み出せないものです。辞めると言った手前、戻ってきましたというのはどうなんだろう、という気持ちは正直ありました。
それでも気持ちが傾いたのは、訪問看護ステーションで消耗しきった自分を立て直すには、ゼロから新しい場所を開拓するよりも、知っている人のいる環境で働ける方がいいと感じたからです。
在職中のスタッフに相談していたところ、看護部長につないでもらえる形になり、そのまま再入職の話が進みました。実際に戻ってみると、「戻ってきたの、嬉しい」と声をかけてくれるスタッフが思ったより多くいてくれました。表面上でもそう言ってもらえると、私も仕事がしやすいですし、本当にありがたいと感じました。戻ってきて正解でした。
訪問看護を経験して気づけた、チーム医療の強さ
外に出て改めて気付けたことは、八尾徳洲会総合病院での多職種連携が、決して当たり前ではないということでした。
訪問看護ステーションにいた時も、薬局の方や往診の先生にはいくらでもコンタクトを取れます。でも、大勢のお客さんの中の一人として扱われる感覚がどうしてもあって、深く相談に乗ってもらえることはなかなかありませんでした。
八尾徳洲会総合病院では、こちらが困っていることや相談を投げかけると、医師やリハビリスタッフ、薬剤師といった他職種スタッフが、それぞれのスペシャリストとしての意見をタイムリーに返してくれます。その答えを踏まえて、「自分はどう患者さんに返していこうか」を考えられる環境があります。
外に出てみて初めて、いかにありがたい環境か実感できました。在宅の現場で多方面との連携に奔走したからこそ、この連携のあり方がより大きな意味を持つものとして見えるようになりました。

急性期の病棟で、退院後の暮らしを想像する
復職してから、病棟での見方が少し変わったと感じています。以前も「この患者さんは家に帰ったらどうするのだろう」と思うことはありましたが、その視点がより深くなりました。実際に在宅の現場を見てきたことで、退院後の解像度が高くなったのだと思います。
私が若手スタッフに伝えていることは、「ここは急性期の病院だから、入院している患者さんにはいずれ必ず退院先がある。だから、退院した先で過ごしていけるようにするにはどうすればいいかを考えながら看護してほしい」ということです。
新人のうちは、看護の技術や知識を身につけることで精一杯になるのは当然のことです。でも一通りできるようになったら、次はスピードではなく、その人自身をちゃんと深く見ることができるようになってほしい。「これぐらいの体力で、こんな手術をした人だから、こんなリスクがある。だから退院後にはこういうサポートを入れたほうがいい」そういう提案ができることが、急性期ならではの看護師の役割だと思っています。
患者さんの高齢化が進む中で、完治して元の生活に戻るというケースばかりではありません。何かしらの疾患と付き合いながら生きていく方が多い時代に、急性期で疾患を深く理解しているからこそ、在宅での暮らしを支える知恵を積み上げることができる。それが「在宅を見据えたゼネラリスト」という、私が目指す看護師像です。
戻る場所が、きっとここにある。八尾徳を勧める理由
今後は実習指導者として、次の世代の看護師たちにも同じ視点を伝えていきたいと考えています。急性期の病棟にいるからこそ、退院後の暮らしとの橋渡しを意識できる看護師になってほしい。今までもこれからも、急性期病院に求められるのはこのような看護師像だと思っています。
八尾徳洲会総合病院は、大きな病院だからこそ働き方の選択肢が多く、ライフステージに合わせた勤務の調整もしやすい環境です。夜勤が難しい時期には勤務時間を調整してもらえたり、子育て中の方には外来や透析など定時で終わりやすい部署という選択肢もあります。40代以降のスタッフも多く活躍していますし、教育制度も進化し続けています。
一度退職した経験がある私が言えることがあるとすれば、戻ることをためらわないでほしいということです。外に出た経験は、必ず自分の看護を豊かにしてくれます。そして戻る場所が、きっとここにはあると思います。
(写真・インタビュー・文:MottoBrand 福井勝雄)
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「外に出た経験を活かしたい」「もう一度、急性期の環境で学び直したい」そう思っているなら、ぜひ一度、八尾徳洲会総合病院の扉を叩いてみてください。一度離れても、戻れる場所があります。子育て中の方、ブランクのある方、再就職をお考えの方も、まずはお気軽に職場見学からどうぞ!