喜界徳洲会病院(鹿児島県)と徳之島徳洲会病院(同)の新築移転工事が進んでおり、両院は地域への周知活動に尽力している。両院ともに島で唯一の総合病院であり、地域の期待に応えるため、現在の建築状況や展望などを丁寧に伝えることに腐心。新病院の特徴に加え、地域への周知活動を紹介する。
マーケティング 総力特集

7月現在の新病院の建築状況、
完成までもう少し(喜界病院)
喜界病院は1991年8月に開設(89床)。新病院は地上3階建て、敷地面積は約1万6,370㎡、延床面積は約8,740㎡。2022年9月23日に起工式を行い、今年12月に診療開始予定だ。
新病院では診療機能の向上を目指し、島内で完結できる診療科を増やしていく考え。また、地震や台風などの災害有事には鹿児島県や喜界町などと協力し、医療の中心的な役割を担える病院を目指す。
患者さんへの周知活動では、病院入り口に完成予定図の写真を掲示、来院した方々は期待感をふくらませており、職員に「病院が新しくなるのが楽しみです」、「島外に診療、治療などに行かなくていいように頑張ってください」など声がかかるようになった。また、ホームページやInstagramも活用。建物が出来上がっていく風景に加え、定期的に行う見学会や説明会などの記事を投稿し、逐一状況を知らせている。

病院入口に掲示された完成予定図を
興味深く眺める(喜界病院)
小林奏院長、清富子・看護責任者、泉陽一事務長は「地域の方々と協同し、信頼と満足を得られる医療・予防医療・介護・生活支援の提供を目指します。喜界島唯一の病院として、島民の健康と生活を守る病院としての役割を担っていきたいです」と口をそろえる。
徳之島徳洲会病院は1986年10月に開設(199床)。現病院から直線で約1.5㎞離れた徳田虎雄顕彰記念館近くに新築移転する。新病院は地上6階建て、敷地面積は約3万2,999㎡と現病院の約7倍、延床面積は約1万8,058㎡。22年12月11日に新築移転工事の地鎮祭を開き、来年8月に診療開始予定だ。

新病院の見学会の様子(喜界病院)
徳之島では現在、患者さんの島外搬送が年間60件ほどある。勇利幸事務長は「島外の病院に通うのは患者さんやご家族の負担が大きいので、新病院では島内で医療を完結できるようにするのが目標です」と強調。ホンダジェット「徳洲ジェット」の活用で、高度な外科手術にも対応できるようになってきたため、さらなる環境の整備を図っていく計画だ。
地域の方々に新病院へ興味をもってもらうために、建築現場のクレーンを用いて12月にはクリスマスのイルミネーション、5月には鯉のぼりを飾り、地元の新聞などにも取り上げられた。
繁田明美・看護師長は「島民みんなで新病院を見守っていただきたいと考えています。鯉のぼりは、地域の方々から提供していただいたこともあり、見物される方も多かったです」と笑顔を見せる。

7月現在の新病院の建築状況
(徳之島徳洲会病院)
ほかにも、ホームページやInstagramの活用、名刺の裏面に新病院の案内を提示、地元のフリーペーパー『ほっとくの』への広告掲載など行い、地道に周知活動を展開。また、7月には小中学生対象の見学会を行い、保護者を含め約90人が参加。クロス貼りや左官体験なども行い、大盛況だった。
勇事務長は「竣工時の祝賀会は地域の方々も招き、開院40周年も込めて盛大に開催する計画を立てています。地域に貢献できる新病院を目指します」と意気軒高だ。

鯉のぼりを飾り、クレーンの折れている
部分で新病院の高さを表す
(徳之島徳洲会病院)

新病院の建築現場に
子どもらは興味津々
(徳之島徳洲会病院)